立体音響用のマイクを買うよりもソフトを使う方がいいかもしれない

2018年12月13日

Photo credit: MACBA via Visualhunt.com / CC BY-SA

立体音響(バイノーラル録音)が流行ってからしばらく経ちます。
自分もいつかは、声優さんのバイノーラル録音をお願いしたいな~なんて思いながらも、その録音の難しさによってなかなか踏み出すことができません。
バイノーラル録音するとなると、ダミーヘッドのあるスタジオに行かないといけないですし、交通費はかかるし、スタジオ代は通常より高くなるし、演者さんが録り慣れていないとなかなかうまくいかなかったり…と通常のレコーディングよりは幾分難易度が上がります。

そこで、今回はバイノーラル録音という手法でなく、通常のレコーディングされた音をソフトを使って擬似的に立体音響をつくる手法について紹介していきます。

Oculus Spatializer

Oculus Spatializer

Oculus Spatializer
https://developer.oculus.com/downloads/audio/

このソフト、普通に録った音を立体音響にしてくれます! しかもなんと無料
立体音響にするソフトは過去にもいくつも出ているんですが、どれも品質が微妙なものが多かったです。
前方180°はそれなりにいいのですが、後ろと上下の定位が殆ど認識できないものでした。
でも、このOculus Specializerは後ろや上下もかなりいい品質で認識できます!

ダウンロード

以下のページからOculus Spatializerをダウンロードできます。

https://developer.oculus.com/downloads/audio/

このソフト単体で動作するものがどうやらないようです。
Unityなどの開発環境のプラグイン、またはVSTやAAXの使えるDAW(音楽制作ソフト)のプラグインとして使えます。(Windows, Mac両方動作します)
Unity上で使う場合はOculus Spatializer Unityを、
WindowsのDAW上で使う場合はOculus Spatializer DAW Winを、
MacのDAW上で使う場合はOculus Spatializer DAW Macをクリックしてください。

今回はWindows DAW上で使う場合で話を進めていきます。

ソフトの使い方

Oculus Spatializerの操作画面

Oculus Spatializerの使い方はとても簡単です!
上の操作画面左で、上から人の頭部を見た様子を表しており、黄色丸をドラッグすると音源の定位が変化します。また、右側のパラメーターを操作することで音の減衰量をモデリングしたり、屋外にいるのか屋内にいるのか、どんな部屋にいるのかをモデリングすることかできます!

基本的なパラメーター

  • GAIN – 音源の音量
  • NEAR – 音源から発した音が減衰し始める距離。
  • FAR – 音源から発した音が聞こえなくなる距離。
  • X POS – X座標
  • Y POS – Y座標
  • Z POS – Z座標

REFLECTIONS パラメーター

REFLECTIONSのボタンを押すと、屋内の反射をモデリングすることができます。

  • X SIZE – X方向の部屋の広さ
  • Y SIZE – Y方向の部屋の広さ
  • Z SIZE – Y方向の部屋の広さ
  • LEFT – 左壁の音の反射率
  • UP – 天井の音の反射率
  • RIGHT  – 右壁の音の反射率
  • FRONT – 前壁の音の反射率
  • BOTTOM – 床の音の反射率
  • BACK – 後壁の音の反射率

普段使用するマイクで録ってOK

普段レコーディングする時使っている環境で音録りしてOKです。
その録った音をDAWのトラックに載せて、Oculus Spatializerをエフェクトに挿せばOK!

バイノーラル録音をするのをあまりオススメしない理由

今回紹介した、Oculus Spatializerは非常にクオリティが高いので、特別な理由がない限りはダミーヘッドを使わなくてもいいのではないかと思いました。
と言いますのは、バイノーラル録音って結構大変なんですね。金銭面でも技術・体力面でも。
大変な理由は以下の通りです。

本格的なダミーヘッドはすごく高価

ダミーヘッドはとても高価。品質のいいものだと100万円程度しますし、安価なものでも数十万円します。

安く仕上げると品質が落ちる

イヤホンタイプのマイクで自分の耳に入れてバイノーラル録音を実現したりするものや、
ダミーヘッドを自作するというのもあります。
が、前者は吐息の音や喉の音、鼓動の音などの雑音が入り、後者はダミーヘッドの形や材質が実際のダミーヘッドよりも劣るため、録った音が上手く立体的に聞こえないといった問題が起こります。

スタジオ代が高い

バイノーラル録音をすると、スタジオ代が通常より高くなります。(ダミーヘッド貸出代が含まれるからですね)

慣れないとうまく録れない

バイノーラル録音をすると、通常の収録よりもやや負担のかかる体勢で声を出したり、収録したい音以外の音は極力立てないようにしないといけません。
録り慣れていない方がやると、思った収録ができない可能性があります。